相続の対象となる財産
被相続人が生前所有していた土地、家屋、現金、預貯金、自動車、貴金属、宝石、骨董品、家財道具、株式等の有価証券、借地権、借家権等のプラスの財産と、借金、ローン残金、未払い税金、保証債務等マイナスの財産が対象です。
生命保険金は被相続人が保険料を負担し受取人を指定していなければ相続財産となります。相続人が複数いる場合、これらの財産は相続人全員の共有となるのです。
相続の対象とならない財産
香典、葬儀費用、祭祀財産(お墓、仏壇、祭具、神棚、位牌など)死亡退職金
遺産分割協議の準備
被相続人の残した遺産の分割について大切な前提条件が二つあります。
① 遺産の相続権を持つ相続人を戸籍謄本により調査確定すること
② 分割の対象となる不動産や遺産を確定し財産目録一覧を作成すること
遺言書がなければ遺産の分割協議を行います。協議の成立には相続人全員の合意が必要です。
通常、相続人の内誰か一人が主導して協議内容と分割案を提案し、他の相続人に異存がなければ協議の成立とされることが多いです。全相続人が一同に揃わない場合、郵便で合意された協議書を持ち回りして相続人全員の署名押印で協議成立とします。成立した遺産分割協議書には署名押印した相続人全員の印鑑証明書を添える必要があります。この遺産分割の協議時、便利なのが相続財産の一覧目録です。この目録書に漏れがあれば後日紛争となるのでしっかり調査した上で作成する必要があります。
相続税の申告や納税期限は10ヵ月です。財産目録を被相続人が生前に作成しておけば手間が大幅に軽減出来ますがなければ相続人によって作成します。
不動産については
登記事項証明書と固定資産税評価証明書等の資料を準備します。なお、相続財産はプラスの財産だけでなく負債等マイナス財産もあります。消費者金融やカードローンのチェックも必要です。不動産に抵当権が設定されているなら金融機関の借入返済が完了していない場合もあります。
調査し、プラスの財産より負債等マイナス財産が多ければ
相続放棄、限定承認を家庭裁判所に申立てます。この申立ては自分が相続することを知った時から3ヶ月以内に行います。
主な財産目録と記載項目
不動産 |
土地・建物の区分 地目 地積・種類 地積・床面積
建物は最新の固定資産税評価価格 土地は路線価で評価 |
預貯金 |
種別 銀行・支店名 口座番号 金額
〇株式・投資信託 種別 銘柄など 口座番号 数量 |
生命保険・年金 |
種別 保険会社 証券番号 保険金額 受取人・満期日 |
借入金 |
種別 返済相手 金額 返済方法 |
他の主な動産 |
車両番号 車名 貴金属名 |
生命保険は相続財産?
死亡保険金の契約者が被相続人で、保険金の受取人が被相続人の場合、死亡保険金や解約返戻金は相続財産とみなされ遺産分割の対象です。
他方、契約者が被相続人で受取人が相続人の場合は受取人固有の資産となる為相続財産とはなりませんので、遺産分割の対象にはなりません。ただし、
みなし相続財産とされ相続税の計算上は課税対象となります。
相続人が複数いる場合は遺産を分割します。
分割には
①指定分割
②協議分割
③調停・審判分割
の3種類の分割方法があります。
指定分割
指定分割‥被相続人が遺言書で財産の分割を指定していればこの指定に従って分割します。
遺言による相続は法定相続に優先するのです。遺留分を侵す割合や相続人全員の合意があれば指定分割以外の分割も可能です。
協議分割
遺言書による分割指定が無い場合、相続人全員による話合いで決めます。
協議では特別受益や寄与分も検討します。どうしてもまとまらない場合は法定相続に従います。
調停分割・審判分割
相続人全員による合意が出来ない場合、家庭裁判所に「遺産分割の調停」又は「遺産分割の審判」を申し立てます。調停では相続人間の譲歩と合意を目指します。
不調となった場合、自動的に審判に移行します。審判では分割方法が強制的に命じられます。